工場改善のデジタルトランスフォーメーション

当社は、製造業の改善・改革の支援が主たる業務であり、様々な企業様に対し提案をしてきました。このような提案の多くは、既に実践され検証された様々な改善手法や支援活動を通して多くの会社を支援させていただいた経験をベースとしています。しかし、提案を受け入れて実際に実行していただくことは、簡単ではありません。

小さな変更から始めそれを積み上げていくことも大切ですが、例えばレイアウトに問題があることからくるような全体的な問題の解決は、どうしても後回しになりがちです。工場では日夜お客様の要求に応えるべくギリギリの活動をしていますから、実際実行してみても想定していた効果通りとはならないこともあり、素晴らしい装置を導入するといった誰もが効果を理解しやすい変更とは違って、なかなか決心がつかないことは仕方がないことです。新工場建設などでは、模型を作って事前に色々な検証をすることもありますが、中小規模の工場、更に改善・改革レベルではなかなかそこまでしっかりと取り組むことは困難です。

一方、製品設計などではCAD/CAMの利用方法が更に進歩してきています。単に図面作成をコンピューターが支援するだけでなく、試作を行わないでコンピューター内でシミュレーションすることで、性能や効果を確認できるようになり、開発コストや開発スピードが格段に向上しています。

工場の問題解決でも、シミュレーターを活用することが出来ます。工場建設では、様々な要素が干渉し合うため経験がある技術者が設計を行っていましたが、最近ではシミュレーターを活用することが増えています。シミュレーターを活用することで事前に問題解決できるだけでなく、複数の案を考えてより効果的な案を考えることも可能になってきました。以前のシミュレーターは非常に高価でプログラミングも必要でしたので、簡単に使うことが出来ませんでしたが、進化して簡便に使えるシミュレーターも出てきています。とは言え、導入費用やモデルを考える人材の育成や運用コストもかかりますから、ユーザ企業で導入できるところは限られてしまいます。しかし、コンサルティング会社やロボットシステム設計会社(SIer)が導入してサービスを展開することで、普通の工場でも恩恵を受けられます。実際、静岡県にあるロボットSIer 株式会社 三明(https://www.sanmei.co.jp/)は、シミュレーターを使いながら大画面でお客さと要求仕様を確認しながらロボットシステムを設計するサービスを行っています。

工場シミュレーターも多く存在しますが、私が触ったことがあるシミュレーターは以下の2つです。

 

(1)   OCTOPUZ        http://octopuz.jp/

ロボットやコンベアなどを詳細に定義でき、実際の動きもシミュレートできるため、作業現場を忠実に仮想化できるツールです。細かい定義が必要たため、工場全体というより、生産ラインなどを詳細に分析・設計することに向くようです。ロボットSIerで導入する企業が増えているようです。

 

(2)   GD.findi             https://gdfindi.com/jp/

変わった名前ですが、国産のシミュレーターソフトです。定義はやや大雑把で、細かい動きは定義できませんが、ノンコードで工場を定義し人やモノの動きをシミュレートすることで、生産の状況を見える化・データ化することを得意としています。単に生産性の改善だけでなく、カーボンニュートラルなどへの対応の検証にも利用できそうです。

 

当社でも、このようなツールの導入を検討中です。サービスの詳細が決まりましたらお知らせします。

 

 

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ケイデンスコンサルティング合同会社 

 

代表社員 川下敬之